2007 Fiscal Year Annual Research Report
変動環境と不確実性のもとでの生活史や行動進化の理論的研究
Project/Area Number |
06J09725
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上原 隆司 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 進化ゲーム理論 / 非対称ゲーム / ESS / レプリケータダイナミクス / 突然変異率 / 縄張り |
Research Abstract |
今年度前半は(1)動物の縄張り防衛行動の進化ゲーム理論的な研究を行い、後半にはそれを発展させた(2)立場の異なるプレイヤー同土の非対称なゲームにおいて突然変異の大きさと突然変異率が進化の結果に与える影響について研究を行った。 (1)縄張りを所有する動物において、縄張りへの侵入とそれに対する防衛の強さがどのように決まるのかを調べるため、ゲーム理論を用いて進化的に安定な侵入と防衛の強さを求めた。このモデルでは縄張り所有者の防衛の強さは所有者自身ではなくむしろ侵入者の利得の大小によって決まるという結果が得られた。さらに突然変異を考慮した侵入と防衛形質の値の頻度分布のダイナミクスをモデル化し、形質値がある範囲内におさまり、突然変異が起こった時には突然変異体の形質値が親の形質とは関係なくランダムに決まるとした。このとき進化の定常分布を解析的に求めることに成功した。 (2)上の方法を一般的な非対称ゲームに当てはめ、突然変異がある場合の頻度分布のダイナミクスを一般化した。この場合にも定常分布が求まる。突然変異は親の形質に近い突然変異体しか現れない"小さな"突然変異しか起こらない場合と、親と全く異なるものも出てくる"大きな"突然変異が起こる場合とを考えたが、両者で結果は大きく異なった。"小さな"突然変異しか起こらない場合には突然変異率が変化しても進化の速度が変わるだけで進化の結果行き着くところは変わらなかったが、"大きな"突然変異が起こる場合には突然変異率によって進化の結果が大きく左右されることが分かった。 これらの結果をまとめた論文は現在執筆中である。
|
Research Products
(2 results)
-
-
[Presentation] Vigilance-Intrusion Game with Mutation2007
Author(s)
Takashi Uehara & Yoh Iwasa
Organizer
The Joint Annual Meetings of the Society for Mathematical Biology and the Japanese Society for Mathematical Biology
Place of Presentation
Fairmont Hotel (Sall Jose, USA)
Year and Date
2007-08-02