2006 Fiscal Year Annual Research Report
変動環境と不確実性のもとでの生活史や行動進化の理論的研究
Project/Area Number |
06J09725
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上原 隆司 九州大学, 大学院理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 進化ゲーム / ESS / 不確実性 / 闘争 / ディスプレイ / 縄張り / 学習 |
Research Abstract |
今年度は動物の闘争行動について、対戦者同士が対戦を通して相手から得る情報に不確実性が含まれる時にどのような行動が進化するか、また動物たちがどのように学習していくかを調べるため、進化ゲーム理論やコンピュータシミュレーションを用いて解析を行った。具体的には次の二つのことを研究した。 (1)まず同種個体間での闘争における儀式的闘争の長さが、動物種間でも種内でも様々に異なることの理由を調べるためゲームモデル用いて研究を行った。本研究では動物の闘争の長さに関してこれまでの行われてきたいくつかの理論研究で考えられているように、どちらかの対戦者が資源を諦めることだけによって闘争が終了するのではなく、儀式的闘争の後に激しい闘争が起こる場合も組み込んでいる。それによって集団中での進化的に安定な儀式的闘争の時間の確率分布を求めることができた。ここでは儀式的な闘争を続けることによって対戦者たちはお互いの強さを徐々に知ることができるとしているが、動物たちが儀式的闘争によって得ることのできるお互いの闘争能力に関する情報の正確さが中間程度の場合に儀式的闘争が長引くであろうという新しい予見を得た。この研究はEvolutionary Ecology Researchに掲載された。 (2)また縄張りを所有する動物において、縄張りへの侵入とそれに対する防衛の強さがどのように決まるのかを調べるため、ゲーム理論を用いて進化的に安定な侵入と防衛の強さを求めた。また個体が相手との相互作用によって一生のうちに行動を変えていくことも考慮に入れ、学習シミュレーションも用いて縄張り防衛行動がどのように変化していくかも調べた。どちらの結果からも、このゲームでは縄張り所有者の防衛の強さは所有者自身ではなくむしろ侵入者の利得の大小によって決まるという結果が得られたが、この内容に関してはまだこれから研究を続ける予定である。
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Research Products
(1 results)