2007 Fiscal Year Annual Research Report
繁殖戦略が異なるスミレ属2種における分子進化生態学:QstとQTLによる解析
Project/Area Number |
06J09727
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
遠山 弘法 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自然選択 / 遺伝的浮動 / Qst解析 / QTL解析 / 系統樹 / シミュレーション |
Research Abstract |
1,Q_<ST>解析:種差が自然選択によってどの集団でも維持されているのか? 生物の多様化をもたらす重要な進化的な力として自然選択と遺伝的浮動があげられる。本研究では、森林性のエイザンスミレと草原性のヒゴスミレの姉妹種を用いて2種間で異なる形質に対し、自然選択(均一化選択、多様化選択)と遺伝的浮動のどちらが相対的に重要なのかを明らかにする事を目的とした。 選択と浮動の相対的な重要性を明らかにするために、F_<ST>とQ_<ST>の比較がよく行われている。しかしながら、系統の影響を考慮していないという問題点がある。そこで本研究では系統樹を基にした解析を行った。具体的には、系統樹と形質から推定される対比を用いて、中立(ブラウン運動モデル)を仮定した形質進化を10000回シミュレーションし、実データとの比較を行った。系統樹の推定は、全国からサンプリングされたエイザンスミレ11集団63個体とヒゴスミレ11集団54個体のAFLP533遺伝子座で行った。形質値の測定は、同一環境下で8カ月間生育させた後に5つの花形質、3つの葉形質、5つの資源分配形質について行った。 シミュレーションの結果、種間で異なる形質、異ならない形質に関わらず安定化選択、もしくは遺伝的浮動が働いていた。この結果はこれまで一般的であると考えられてきた多様化選択とは異なる結果である。またこの結果は、昨年度まで行っていたF_<ST>とQ_<ST>の比較の結果と一致するものであった。 2,QTL解析:種差が自然選択によって生じたのか? 種差の進化の遺伝的背景を明らかにするために現在QTL解析を進めている。19年度は、QTL解析のためのF2(雑種2世代目)の獲得を行った。予定ではF2を300個体獲得する予定であったが、生育が悪く約100個体程度しか獲得できなかった。今後もF2の獲得と生育を進めていく。また同時に、形質測定を行い、QTL解析を進める。
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Research Products
(1 results)