2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J09740
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柳川 綾 九州大学, 農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 社会性昆虫 / 昆虫病理 / 生体防御 / 昆虫病原性糸状菌 / グルーミング行動 / イエシロアリ |
Research Abstract |
本研究の目的は、これまで体系的に確認されてこなかった、社会性昆虫の特有の集団・個体・細胞レベルにおける生体防御機構を解明することである。現在の昆虫病理学では、社会性昆虫と単独性昆虫の生体防御機構に区別はなく、また、生体防御反応に「行動」という観念はほとんどない。しかし、社会性昆虫は集団で生活することによりさまざまな機能を獲得しており、生体防御の点でも特有の生体防御機構を発達させていることが示唆されている。現在は、社会性昆虫であるイエシロアリの社会行動の一つであるグルーミング行動の昆虫病原性糸状菌に対する生体防御機構における役割を調査している。 平成18年度は、イエシロアリのグルーミング行動開始の引き金となる刺激や、またその頻度などを調査した。健全シロアリ、または感染シロアリの集団の行動比較、あるいは触角を持つ集団、持たない集団などの行動観察を行うとともに、グルーミングにおける触覚の機能、役割の解明を目的として、触角電位図法(EAG法)を用いて、各種昆虫病原性糸状菌の匂い物質に対する触角の電気生理学的反応を得た。これに加えて、電子顕微鏡を用いて各種昆虫病原性糸状菌のイエシロアリ体表付着部位の観察をおこない、糸状菌側からのグルーミング行動に対抗する戦略を検証した。電気生理学的実験は、福岡大学理学部で、ご教授いただいた。 国内学会では、11月に第18回日本環境動物昆虫学会年次大会(神奈川)、日本蚕糸学会第62回九州支部・第72回関西支部合同大会昆虫機能・利用学術講演会(福岡)に参加、3月に日本応用動物昆虫学会第51回大会(広島)に参加予定。また8月にはXV Congress IUSSI(Washington DC, USA)国際学会にも参加した。
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Research Products
(2 results)