2006 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリ始原生殖細胞の移動および増殖・分化の分子基盤
Project/Area Number |
06J09744
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
荒牧 伸弥 九州大学, 農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニワトリ / 始原生殖細胞 / chicken dead end homologue / RACE-PCR / クローニング / in situ hybridization / ニワトリ初期発生 / 始原生殖細胞の移動 |
Research Abstract |
本年度はニワトリ始原生殖細胞に発現する遺伝子であるdeadendについての研究を主としてすすめた。近年ゼブラフィッシュにおいて発見されたdead end遺伝子は始原生殖細胞特異的な発現を示し、生殖細胞の発生に必要不可欠であることが他の研究者により報告されている。ジーンバンクのデータベース上においてニワトリdead end homologueの予想配列は存在するものの、そのcDNAは部分配列しか報告されていない。そこでまずcDNAの全配列決定を試みた。RACE-PCR法を用いることにより既知の部分配列の3'側および5'側の未知配列を同定することに成功し全配列を決定した。さらにdead end遺伝子が他の動物種同様、始原生殖細胞に発現しているかどうかをin situ hybridization法を用いて検討した。その結果dead endのmRNAの発現細胞はこれまで報告されている始原生殖細胞の移動様式、形態的特長と一致し、dead end mRNAは発生の初期段階から始原生殖細胞特異的に発現していることが確認された。ニワトリにおいてはその初期発生において始原生殖細胞が劇的な移動を遂げて性腺に到達することがこれまで報告されているが、生殖細胞の決定機構をはじめ、その移動の詳細についてはまだ不明な点も多い。そこでdead endのin situ hybridizationを初期胚(受精後約24時間〜胚日齢6日)において実施することにより始原生殖細胞の移動追跡を試みた。その結果、受精後24時間から始原生殖細胞を検出することに成功し、従来の検出方法では比較的不明瞭であった生殖三日月環領域(発生初期段階において始原生殖細胞が一過性に局在する胚体外の領域)に局在する始原生殖細胞等を検出することに成功した。申請者はこれらの研究成果を2006年の米国生殖生物学会においてすでに発表しており、現在国際誌に投稿中である。
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