2008 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリ始原生殖細胞の移動および増殖・分化の分子基盤
Project/Area Number |
06J09744
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
荒牧 伸弥 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 始原生殖細胞 / dead end遺伝子 / 組換えタンパク質 / 精原細胞 / 核タンパク質 / 免疫組織学 / 卵原細胞 / CVHタンパク質 |
Research Abstract |
始原生殖細胞(PGC)は精子あるいは卵子へと分化する生殖系列の幹細胞である。本研究では、鳥類生殖細胞の研究の分子基盤を構築するために、PGCからニワトリデッドエンドホモログ(CDH)遺伝子を単離してそのcDNA全塩基配列を決定した。CDHは329残基のアミノ酸からなる推定分子量36kDaのタンパク質であること、その分子内にはRNA結合領域および糖鎖結合部位の存在することが明らかになった。また、CDH mRNAがPGCに特異的に発現することを確認し、その発現特異性を生かしてニワトリの放卵直後からPGCが生殖巣に到達するステージまでのその移動経路を追跡した。さらに、CDHの機能を解析するために、その組換えタンパク質を抗原として抗CDH抗体を作製した。ウエスタンブロットと発現細胞の検討から、抗CDH抗体が特異的にPGCを含む生殖細胞を検出していることを確認し、加えてその核に局在することを明らかにした。すでに生殖細胞の細胞質で発現が認められているヴァサホモログタンパク質とは異なる機能を持つことが推測された。成熟ニワトリ精巣の精原細胞など精上皮基底側の細胞にはCDHタンパク質の核への局在が明確に認められたのに対し、管腔側の精子細胞や精子ではCDHタンパク質陰性であった。このことから、CDHタンパク質は精子形成、とりわけ幹細胞の分化や減数分裂との関連性が強く示唆された。最後に、CDHをPGCの分子マーカーとして、ニワトリPGCで発現する遺伝子の網羅的解析を行った。PGCと血球細胞のそれぞれ単一細胞集団からcDNAを合成して、サブトラクション法によりPGCで差次的に発現すると予想される59遺伝子を単離した。逆転写-PCRにより単離された遺伝子および細胞の特性に関わる遺伝子の発現について検証したところ、ニワトリPGCでは神経細胞の発生に関わる因子および細胞接着因子が血球細胞に比べて差次的に発現していることが明らかになった。
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