2006 Fiscal Year Annual Research Report
森林汚染モニタリングにむけた新規高感度センサーの開発
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06J09748
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村上 修一 九州大学, 大学院農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 微量成分分析 / ラマン分光法 / ナノ構造体 |
Research Abstract |
平成18年度研究1年目として、金蒸着ガラス基板の安定作成法について検討を行った。その結果、窒素ガスの導入によりラマン散乱強度が従来の作成法に比べ50%以上増加することがわかった。また、窒素ガス導入時において作成されるガラス基板のシグナル安定性については、蒸着時間・蒸着場所・蒸着電圧を検討することにより、作成日時の異なる基板間でのシグナル間差は5%以内でありつつ、従来の方法よりラマン散乱強度が得られることがわかった。原子間力顕微鏡による表面観察においては、厚さ数nmの金膜が蒸着されており、ところどころに増強場となりうる数百nmになる金ナノ構造体が存在していることがわかった。以上より、蒸着法を用いた金蒸着ガラス基板の安定作成法を確立したと考えられる。 金以外の金属についての検討として、銀を用いた蒸着ガラス基板の作成を行いその評価を行った。その結果、金と同様にラマン散乱の増強を確認した。そこで、これら金と銀蒸着ガラス基板を用い、生体関連物質であるアミノ酸、核酸および尿酸の測定を行いラマン散乱の増強を確認した。同様に大腸菌と黄色ブドウ球菌の測定を行いそれらの判別が可能であることを確認し、その検出限界個数は黄色ブドウ球菌において6.34×10^6個であることがわかった。また、ダイオキシン類である2,4-および2,6-ジクロロフェノール1ppmの同時分析が可能であること、重金属類として6価クロムを含むニクロム酸カリウムの測定において、検出限界濃度は水道法の基準である50ppb以下である1.41ppbであることが確認された。またアンモニアガスの測定にも成功した。以上から、透過型多重増強ラマン分光法を用い、森林汚染モニタリングとして農薬以外に玉生体関運物質や菌類,重金属、ガスの検出にも適用可能であることが期待される。
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