2007 Fiscal Year Annual Research Report
森林汚染モニタリングにむけた新規高感度センサーの開発
Project/Area Number |
06J09748
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村上 修一 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 微量成分分析 / ラマン分光 / ナノ構造 / 残留農薬 |
Research Abstract |
平成19年度研究2年目の成果として、原子間力顕微鏡に加え、走査型電子顕微鏡を用いて金蒸着面の形態観察を行った。その結果、ところどころに増強場となりうる数百nmになる金ナノ構造体が存在していることが電子顕微鏡による観察でも確認された。さらに、金蒸着を施したガラスチューブの表面においては、金ナノ構造体が同一方向に配向している様子が観察された。この結果から、ガラスチューブを用いることで、金ナノ構造体が島状に集まりその島同士の間隔がマイクロメーターであること以外に、その島状構造が同一方向に配向している可能性があり、この配向がより大きな増強を生み出し、感度の上昇に関係している可能性が示唆された。 複数成分の同時検出について、化学構造が類似しているサリチル酸およびp-ヒドロキシ安息香酸を用い検討を行った。その結果、各試料に特徴的なピークが複数観察され、そのピークの中には、重なることなく存在するピークも多く確認された。元来、ラマン分光法にて得られるピークは半値幅が狭くシャープであるため、その特徴が生かされたと考えられる。今後は、さらに多くの試料での同時検出を行う予定である。 透過型多重増強ラマン分光法のメカニズム解明について検討を行った。これまで、ガラスチューブを用いていたが、円筒形状であり、メカニズム解明を行う際には検討しなくてはならない要因が増えるため、屈折率等の情報がありレーザー照射面が平面である石英セルを用いることにした。そしてメカニズム解明においては、複数枚配置した金蒸着ガラス基板の、レーザーが最初に照射される基板の増強能が、全体の増強能に深く関係することが示唆された。また今回の検討の中で、金蒸着ガラス基板の後ろに、全反射板を導入することで、ピーク強度が2倍に増加することがわかた。以上から、森林汚染モニタリングに向けたさらに高感度な検出が可能な高感度センサーの開発が期待される。
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Research Products
(1 results)