2006 Fiscal Year Annual Research Report
シリコン表面上のマンガンとアンチモンの共吸着構造とその表面磁性の研究
Project/Area Number |
06J09776
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
東 相吾 九州大学, 総合理工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 低速電子線回折(LEED) / 表面シリサイド / マンガン / アンチモン |
Research Abstract |
本研究はSi表面上にMnとSbからなる超薄膜表面強磁性規則合金の創製を目指している。この物質を創製には各原子の蒸着を原子オーダーで較正することが必要である。精度の高い蒸着量の較正方法として、表面に目的の原子を蒸着し、形成した表面構造を低速電子線回折(LEED)により解析し決定する方法がある(ただし表面規則構造を形成しない場合は構造が決定できないため、この手法は有効でない)。本研究ではこの手法を採用し、まずMnを半導体基板で広く利用されているSi(001)上に蒸着し表面規則構造を形成するかを調べた。 Si(001)上のMn単独吸着 蒸着量の増加に伴い清浄表面であることを示す(2×1)のLEEDパターンから、ブロードな(1×1)に変化し、さらに蒸着していくと回折スポットが消失した。これは表面数原子層程度ではMnはSi(001)上で規則構造を形成しないことを示すもので、結果的に蒸着量を精度よく見積もれないと判断し、Si(001)からもう一つの代表的な低指数面であるSi(111)に基板を変更して以下の実験を行った。 Si(111)上のMn単独吸着 シャープな(√<3>×√<3>) R30°LEEDパターンの観察に成功した。この(√<3>×√<3>) R30°はMnとSiからなる表面シリサイドが層状成長いるとされているが、構造の詳細は明らかでない。構造決定には被覆率と表面周期という二つの情報が重要だが、被覆率に関しての有用な情報がほとんどなかった。そこで、Si(111)サンプルに隣接してCu(001)のサンプルを設置できるものに改良し、Cu(001)を使用してMnの蒸着レートを見積もった。これを参考にしてSi(111)上での(√<3>×√<3>) R30°が被覆率約2.0で最もシャープになることがわかった。 Si(111)上のSb単独吸着 被覆率1.0でMnと同様(√<3>×√<3>) R30°の表面周期LEEDで観察解析し、これを元にSbの蒸着レートを較正した。 Si(111)上のMnとSbの共吸着 以上の単独吸着の実験を元に、Si(111)上のMnとSbの共吸着を行い新たに(√<3>×√<3>) R30°のシャープなLEEDパターンを観察することに成功した。
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