2006 Fiscal Year Annual Research Report
局所構造を含む宇宙プラズマMHD乱流:起源、統計解析、粒子輸送
Project/Area Number |
06J09778
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
成行 泰裕 九州大学, 大学院総合理工学研究院, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 宇宙プラズマ / 磁気流体波動 / 局所構造 / 乱流 / 非線形波動 / 太陽風 / 高ベータプラズマ / 統計解析 |
Research Abstract |
本研究は、空間3次元的な非線形発展、及びプラズマ粒子の運動論的効果を考慮した理論・シミュレーションによる解析を行い、衛星データ解析結果を解釈するための基礎的知見を得ることを目的としている。今年度は、太陽風中において最も重要な磁気流体波動である、大振幅の平行伝播アルフヴェン波の非線形発展に関する研究を、実際の太陽風中におけるアルフヴェン波の性質(高ベータプラズマ中、非単色など)に着目して行った。平成18年度に得られた結果は以下の通りである。 ○プラズマが高ベータである地球近傍において本質的に重要となる、イオンのランダウ減衰の効果を含んだアルフヴェン波のパラメトリック不安定性の線形分散関係式を、ヴラソフ方程式を用いて体系的に導出した。得られた分散関係式を数値的に解くことにより、不安定性の成長率の各パラメータへの依存性を明らかにした。 ○一次元2流体方程式の時間積分により、実空間での波形の変化と波動間の位相相関の関連について議論した。自己変調不安定に伴う波動の非線形性と分散性の相殺に伴い、波数モード間の大域的な非線形相互作用が生じ、その結果孤立波(位相相関)が生成されることを、周波数の時間発展の定式化、及び高次スペクトル解析(バイコヒーレンス解析等)を用いて示した。 ○実際に宇宙空間で観測される波動を想定した広いスペクトル幅を持った非単色アルフヴェン波の非線形発展についての数値実験を行い、磁場のポンデロモーティブ力により励起される有限振幅の縦波が「非線形的な」変調不安定を駆動することを示した。さらに、実際の太陽風中で確認されているような有限の位相相関がそれらの非線形的に駆動される不安定性によって生成され得ることを指摘した。 ○現象論的なイオンランダウ減衰効果を含んだモデル方程式系(運動論的TDNLS系)を用いて、縦波のランダウ減衰が非常に大きい場合(太陽風中など)においても、上記のような非線形的な不安定性が生じることを示した。 ○有限イオン温度による分散効果(有限ラーマ半径効果)が、無衝突減衰が有効でないアルフヴェン波の不安定性にも本質的な寄与をすることを線形解析・ハイブリッドシミュレーションを用いて明らかにした(現在ジャーナル誌に投稿中)。 以上の結果は、国内外の学会・研究会、国際学術ジャーナル誌上において発表されている。
|