Research Abstract |
本研究の目的は超音速キャビティ流れの振動機構を明らかにし,振動現象にともなう渦の放出をスクラムジェットエンジンにおける燃料混合促進に積極的に応用することである. 本研究では超音速キャビティ流れにおいてキャビティ内を伝播する圧力波やせん断層内を移動する渦の周期的かつ三次元的な挙動を解明するために,アルゴンレーザー誘起蛍光法を用いて超音速キャビティ流れの三次元的な蛍光強度分布を実験的に取得する.また,実験条件に合わせた数値解析を行い,実験結果と比較することにより数値解析結果の妥当性を評価する.さらに,数値解析および実験結果から物理的考察を詳細に行い,超音速キャビティ流れの振動機構を明らかにする.明らかになった振動機構をもとに燃料混合促進に最も有効なキャビティ形状(キャビティ長さ,深さ,スパン方向長さ)を決定する.昨年度までに,本流れ場は,4.8,8.5,13.4kHzの振動周波数を持ち,13.4kHzのモードが,8.54kHzのモードに比べ三次元的な流れ場になっていることが明らかになった. 本年度は,レーザー誘起蛍光法による実験を行い8.54kHzのモードについて,詳しく考察を行なった.また,キャビティの深さを変化させて実験を行い,以下のような結果を得た. 1.レーザー誘起蛍光法による実験結果から,8.54kHzのモードでは,キャビティ内を伝ぱする音波がせん断層の渦と干渉し,キャビティの振動を増幅させていることが分かった. 2.キャビティ流れの振動の強さは,キャビティ深さに依存し,キャビティ長さをL,深さをDとした場合,その比L/Dが0.7と2.1の場合に振動が強くなり,逆にL/Dが1.5付近では,振動が弱くなることが分かった.
|