2006 Fiscal Year Annual Research Report
複雑系科学及び環境学に基づく人間-環境-社会システムの統合的モデル化に関する研究
Project/Area Number |
06J09785
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
相良 博喜 九州大学, 大学院総合理工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マルチエージェントシミュレーション / ゲーム理論 / 囚人のジレンマ / 環境問題 |
Research Abstract |
本研究では、環境問題をモデル化するためにマルチエージェントシミュレーションを用いて人間-環境-社会システムを構築する.これまでのトップダウン的なシステムの見方を革新し,社会的な組織,個人の活動をボトムアップにモデル化することにより,多くの社会現象やそれの構築のプロセスを分析でき,新しいアプローチによる問題解決を図ることが出来る。本年度はゲーム理論等の基礎学理研究、それに基づくマルチエージェント的アプローチによる応用研究を進めた。その他にも社会,人間,環境に関連する分野を連結し,建築学における環境問題などに新たなる切り口を見つけることが,研究全体における目的である.これまでの具体的な研究内容は以下の通りである. 1.Norm-Reputation Systemによる協調創発とジレンマ強度との関係性についての考察 Normと呼ばれる人間関係におけるルールを模擬したシステムを導入することにより協調創発のメカニズムをモデル化した。非協調的な相手に対して罰を与えるルールが社会に於いてロバストであるが、このルールは異なるルールとの対戦を許容した場合、十分に進化しえない。しかし、ジレンマが過酷な社会においては逆にこのルールが進化することを示した。 2.派閥モデルを用いたジレンマゲームにおけるGreen Beard Effectの考察 派閥という、仲間を識別できる機構を導入し、協調創発のモデルを作成した。Hruschkaらの論文のモデルでは、Green Beard Effectが仮定されており、モデルとして適切でないという批判からこれを仮定しないモデルを作成した。この場合、Mimicと呼ばれる相手を欺くプレイヤーが発生し、安定的な協調関係が構築されないことを示した。 これらは2007年3月第147回電子情報通信学会「人工知能と知識処理」 情報処理学会「知能と複雑系」合同研究会などで報告している。 2.都市内交通システムにおける部分的情報共有型カーナビゲーションシステムの効用に関する考察 前年度の研究の継続。モデル上の不備等を再検討し、論文誌に投稿している。また、2006年12月 第12回交通流のシミュレーションシンポジウム、数理モデル化と問題解決研究MPSシンポジウム2006などで報告している。
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Research Products
(1 results)