2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規電子線トモグラフィー法の開発による結晶材料の3次元組織解析の新たな展開
Project/Area Number |
06J09786
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 耕輔 九州大学, 大学院工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 電子線トモグラフィー / 規則合金 / 透過型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
近年、結晶性材料の三次元組織評価が強く求められており、透過型電子顕微鏡にトモグラフィー法を適用した電子線トモグラフィー法が注目されている。本研究では、従来の電子線トモグラフィー法では観察が困難である規則合金試料を観察対象として、結晶方位、結晶回転軸を考慮した新規電子線トモグラフィー法による3次元組織解析を行っている。昨年度は、これまでの研究で概ね確立した連続傾斜暗視野法を用いて、Ni-Mo合金およびNi-Al-Ti合金のトモグラフィー観察を実施した。 容態化処理を施したNi-19.5at% Mo合金に所定の熱処理を行い、Ni_4Mo規則ドメインの単相組織を得た。異なる結晶方位バリアントからの連続傾斜暗視野像を同一視野から得ることによって、異種バリアントの3次元分布状態の可視化に成功した。本観察技法により、通常のTEM観察では判断しづらい逆位相境界やバリアント境界の3次元形態についての議論が可能となり、Ni_4Mo規則ドメインの逆位相境界は平面状であり、バリアント境界は湾曲していることがわかった。 二段時効処理を施したNi-Al-Ti合金には、γ(不規則fcc)母相中のγ'(規則L1_2)析出粒子内部にγ粒子が析出し、それらにより耐熱材料としての力学特性低下をもたらすγ'粒子の粗大化が抑制される。昨年度は、時効初期段階および後期段階におけるγ、γ'粒子の3次元形態解析を行った。時効初期段階のγ粒子の形態は、球状、棒状、板状の3種類の形態が観察された。また時効後期段階のγ粒子は板状のみ観察された。本観察結果より、γ粒子の形態は、球状から粗大化により板状に直接変化するのではなく、球状から棒状を経て板状へと変化していくことが示唆される結果となった。
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