2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規電子線トモグラフィー法による結晶材料の3次元組織解析の新たな展開
Project/Area Number |
06J09786
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 耕輔 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 電子線トモグラフィー / 透過型電子顕微鏡 / 規則ドメイン / 3次元形態解析 |
Research Abstract |
近年、結晶性材料の三次元組織評価が強く求められており、透過型電子顕微鏡(TEM)にトモグラフィー法を適用した電子線トモグラフィー法が注目されている。本研究では、従来の電子線トモグラフィー法では観察が困難である規則合金試料を観察対象として、結晶方位、結晶回転軸を考慮した新規電子線トモグラフィー法による3次元組織解析を行っている。今年度は、これまでの研究で概ね確立した連続傾斜暗視野法を用いて、Ni基の2元系および3元系合金のトモグラフィー観察を実施した。また、ストックホルム大学への短期留学の際には、カーボン多孔質材料を対象としたトモグラフィー観察を実施した。 Ni-19.5 at% Mo合金に所定の熱処理を行い、熱処理時間の異なる2種類の試料(2 hour,24 hour)を作成した。通常のTEM観察より、どちらの試料もNi_4Mo規則ドメインの単相組織であり、規則ドメインのサイズはそれぞれ50nmおよび200nmであった。さらに、各結晶方位バリアントについて同一視野から連続傾斜暗視野像を得ることによって、異種バリアントの3次元分布状態の可視化に成功し、規則化過程についての知見を得た。 二段時効処理を施したNi-Al-Ti合金には、γ(不規則fcc)母相中のγ'(規則L1_2)析出粒子内部にγ粒子が析出し、それらにより耐熱材料としての力学特性低下をもたらすγ'粒子の粗大化が抑制される。類似の現象がNi-Si-Fe合金、Fe-Al-Ni合金でも起こることが確認されており、今年度はNi-Si-Fe合金中のγ、γ'粒子の3次元形態解析を行った。その結果、本合金中のγ粒子の形態は、時効初期段階から後期段階まで球状を保ったまま粗大化することがわかった。
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