2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子内環化を利用した位置選択的ヒドロホルミル化反応の開発とその応用
Project/Area Number |
06J09860
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河内 卓彌 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 一酸化炭素 / 遷移金属触媒 / パラジウム / 酢酸ビニル / 配位重合 / ホスフィン-スルホナート / アクリロニトリル / エチレン |
Research Abstract |
種々の錯体を用いてカルボニル化反応を検討したところ、ボスフィン-スルホナート配位子を用いるパラジウム触媒系において、酢酸ビニルと一酸化炭素の交互共重合が進行することを見出した。また、本反応をラジカル重合禁止剤を用いて行っても同様の高分子量体が同程度の活性を持って得られたため、本重合反応はラジカル重合ではなく、通常のパラジウム触媒系による一酸化炭素・オレフィンの共重合と同じく配位重合であると考えられる。極性ビニルモノマーの配位重合はビニルモノマーの重合法開発における最も重要な課題の一つであるが、本研究は極性ビニルモノマーと一酸化炭素の交互共重合として初めての例である。また、酢酸ビニルはラジカル重合によってのみ高分子化できることが知られており、年間世界で5Mt生産される酢酸ビニルのラジカル重合以外の重合法としても初めてのものである。 また、ホスフィン-スルポナート配位子を用いるパラジウム触媒系はアクリル酸メチルとエチレンの線状共重合体を得られるきわめて稀な例である。今回、ボスフィン-スルホナート配位子を有するメチルパラジウム錯体を単離して触媒として用いることにより、これまで非常に重要な課題であるとされてきたアクリロニトリルとエチレンの共重合に展開できることを見出した。本反応はアクリロニトリルとエチレンの線状共重合体を合成した初めての例であり、その分岐のない構造による新たな物性が期待される。 これらの研究成果については現在、投稿論文作成中である。
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