2006 Fiscal Year Annual Research Report
単層カーボンナノチューブの光物性制御と光エネルギーデバイスへの応用
Project/Area Number |
06J09883
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 陽一 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 光物性 / 中赤外 / ポンプ・プローブ / 孤立分散 / カラギーナン |
Research Abstract |
本年度はまず,半導体単層カーボンナノチューブの中赤外光吸収応答を調べる第一段階として,測定試料開発を行った.具体的には,カーボンナノチューブ固有の光物性を調べるためには,ナノチューブの凝集(バンドリング)を解きほぐし,光透過能を有するポリマー中に孤立分散させる必要がある.本年度の研究から,コール酸ナトリウムを界面活性剤とし水溶液中で分散・超遠心処理したものを,イオターカラギーナン(海藻由来ポリマー)と混合,蒸発固化させることで,紫外・可視に加えて中赤外域(3.5-5.6μmの波長範囲)に高い光透過窓を有するフィルムを開発した.この試料の特長として,ポリマーとの混合・蒸発固化後もカーボンナノチューブの再凝集を招かず良好な孤立分散を保つ点が挙げられる. 引き続き,本試料を用いて半導体カーボンナノチューブ中の励起子遷移を調べるべくポンプ・プローブ測定装置を構築,実験を行った.具体的には,ポンプ光はカーボンナノチューブの二番目のサブバンドに対応する可視光(〜570nm),プローブ光は基底励起子状態から二番目の状態への遷移エネルギーに対応する中赤外光(〜3-5μm)である.もしポンプ光により励起子分布が基底状態に形成されるならば,それにより励起子内部遷移に対応したプローブ光波長において共鳴的な吸収増大が観測されるはずである.しかしながら,実験結果においては自由キャリア吸収と思われる波長選択性を有しない強い光誘起吸収に支配され,・観測対象である励起子内部遷移に対応した誘起吸収を観測・抽出できなかった.この結果を踏まえ,目下は観測対象を自由キャリア吸収による影響を排除可能な蛍光発光計測に移行するべく測定系を再構築中である.
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Research Products
(3 results)