2008 Fiscal Year Annual Research Report
単層カーボンナノチューブの光物性制御と光エネルギーデバイスの応用
Project/Area Number |
06J09883
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 陽一 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 化学気相成長 / カイラリティ / 触媒 / 蛍光分光 / 励起子 / 光デバイス |
Research Abstract |
本年度は(i)単層カーボンナノチューブのポスト分散処理による単一カイラリティ抽出とその詳細な分光分析,および(ii)カイラリティ制御合成に向けた結晶性ケイ酸塩表面構造を担体に利用した単層カーボンナノチューブの触媒化学気相成長の2テーマについて取り組んだ. 前者については,シリカライト1(ゼオライト)およびRUB-18(層状シリケート)を触媒担体に選び,それらのナノスケール表面微細構造と触媒金属粒子との相互作用が化学気相合成される単層カーボンナノチューブの直径およびカイラリティに及ぼす影響を調べた.具体的には,CVD合成された単層カーボンナノチューブに対し顕微蛍光および顕微ラマン分光による分析を行い,生成されたナノチューブの量および直径・カイラリティを明らかにした.これにより,将来の触媒化学気相成長法による単層カーボンナノチューブのカイラリティ制御に向けた有意義な知見が得られた. 後者については,(7,5)のカイラリティを持つ半導体単層カーボンナノチューブの選択抽出法を開発した.本研究では分散剤としてフルオレンポリマーを用い,溶媒にトルエンにカルボキシル基を含む添加物を添加する事により,直径が互いに非常に近い(6,5)チューブおよび(7,5)チューブの間の選択性を変化させ,後者のみを取り出す方法を開発した.さらに,このような光学的に高純度な試料に対して蛍光測定することにより,近赤外の最低バンド間遷移に起因する蛍光発光ピークの約140meV低エネルギー側に微弱な発光サイドバンドを見出した.このサイドバンドエネルギーの直径依存性を計測する事により,その物理的由来を光学不活性な励起子と光学フォノンの相互作用によるものと結論付けた.このような知見は,将来単層カーボンナノチューブの光デバイス応用を進める上で重要な基礎的知見となりうると考えられる.
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Research Products
(7 results)