2007 Fiscal Year Annual Research Report
RNAiライブラリーを用いたメタボリック症候群関連遺伝子の網羅的解析と全容の解明
Project/Area Number |
06J09887
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 佐保姫 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 特別研究員(PD)
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Keywords | メタボリック症候群 / RNAiライブラリー / 高速イメージング / 3T3L1 / 脂肪細胞分化 |
Research Abstract |
メタボリック症候群は、共通した発症基盤として肥満を有する病態であり、動脈硬化性疾患の原因として重要であると考えられている。本研究においては、メタボリック症候群のメカニズムを分子レベルで明らかにするために、新たな鍵分子の同定を試みた。In Cell Analyzerを用いて、高速イメージング解析法を確立することによって、RNAiライブラリーを用いたin vitroでのスクリーニングが可能となった。この手法を用いてライブラリースクリーニングを施行し、RXRγ・Trpv2・RUNX・RADfamily・Cdkn2などいくつかの興味深い因子をピックアップした。この中のRAD51という遺伝子は、2本鎖DNA損傷が起きたときに、修復に働く蛋白のひとつであり、肥満との関わりについては今までまったく知られていない。RAD51をノックダウンすることにより、3T3L1細胞の脂肪化は著しく抑制された。RAD51のノックダウンは、C/EBPβ・δやKLF5といった脂肪化の誘導初期に発現が増強する遺伝子には影響を与えなかったが、C/EBPα・aP2・PPARγ2といった後期に発現の増強する遺伝子は著しく抑制された。一方で、RAD51遺伝子の発現は、3T3L1の分化の初期に増強する。RAD51をノックダウンして、BrdUアッセイ、FACSなどを用いて細胞周期への影響を調べたところ、RAD51のノックダウンによりG2-Mチェックポイントで細胞周期が止まり、その結果細胞増殖が起こらず、分化が抑制されていることが明らかとなった。次に、RAD51の生体内における働きを解析した。RAD51の発現は、肥満したob/obマウスの白色脂肪細胞で有意に増強していることが示され、肥満において何らかの役割を担っている可能性が示唆された。九州大学より、RAD51^<+/->マウスを提供していただき、高脂肪食負荷実験を行った。野生型のマウスに比べ、RAD51^<+/->では、高脂肪食負荷で太りにくいことが示された。今後は、RAD51の脂肪細胞機能における役割やその制御因子などについての解析を行いたいと考えている。
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Research Products
(3 results)