2008 Fiscal Year Annual Research Report
RNAiライブラリーを用いたメタボリック症候群関連遺伝子の網羅的解析と全容の解明
Project/Area Number |
06J09887
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 佐保姫 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 特別研究員(PD)
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Keywords | メタボリック症候群 / スクリーニング / RNAi |
Research Abstract |
メタボリック症候群は、耐糖能異常や高脂血症、高血圧などを合併し、その上流に共通した発症基盤として肥満を有する病態と考えられ、動脈硬化性疾患の原因として注目されている。その発症を制御する新規因子を高効率にスクリーニングする方法を確立し、機能解析を行ってきた。昨年度までは、In Cell Analyzerを用いて、効率よくイメージング画像を取得し高速解析する技術を確立することによって、RNAiライブラリーを用いたin vitroでのスクリーニングを可能とした。本年度は、このスクリーニングでピックアップされた興味深いいくつかの遺伝子の中で、RAD51というDNA修復遺伝子に注目して解析を行った。RAD51はDNA修復蛋白あるいは相同組み換え関連蛋白として知られ、肥満との関わりについては今までまったく指摘されていない。RAD51をノックダウンすることにより、3T3L1細胞の脂肪化は著しく抑制された。一方で、RAD51遺伝子の発現は、3T3L1の分化の初期に増強し、BrdUアッセイ、FACS解析などの結果、3T3L1のclonal expansionにおいてG2-Mチェックポイントで細胞周期を制御していることが明らかになった。この働きは、インスリン刺激によって誘導され、脂肪細胞の分化に関連して起きる現象であることが示された。RAD51のin vivoでの働きを解析してみると、肥満したob/obマウスの白色脂肪細胞で有意に増強していることが示され、RAD51^<+/->では、高脂肪食負荷で太りにくいことが示された。またRAD51^<+/->は、高脂肪食下で耐糖能異常やインスリン抵抗性の優位な改善を示した。これらの結果から、RAD51は、分化に強調した細胞分裂を制御し、その結果として肥満やそれに伴う代謝異常に関与していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)