2007 Fiscal Year Annual Research Report
多言語史料の総合的分析による清朝の中央アジア統治システムに関する研究
Project/Area Number |
06J09922
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小沼 孝博 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中央アジア / 清 / ベク / 文書 / 満洲語 / チャガタイ=トルコ語 / 新彊 / 東トルキスタン |
Research Abstract |
研究計画に沿い,清朝による中央アジア統治の具体像を明らかにするため,満洲語,漢語,チャガタイ=トルコ語の文書・写本を利用して研究を行った。 6月に中華人民共和国北京市へ出張し、中国第一歴史档案館において清朝の東トルキスタン統治に関連する文書の調査を行った。この調査の過程で、18世紀後半にヤルカンド=オアシスで作成された、現地トルコ人官僚ベクの履歴冊を発見し、その読解に取り組んだ。7月には、昨年7月に科学研究費補助金によって実施した、18世紀中葉に東トルキスタンから北京に強制移住させられたトルコ系ムスリムの歴史と現状の調査結果にもとづき学会報告を行った。この成果は、平成20年度に英文論文の形で公刊する予定である。10月には、18-19世紀における中国内地から新彊一帯へ移住した漢人勢力、特に流配者集団の移住形態、社会実態、及び農地開発に関する近年の研究動向を報告した。 また、昨年度以来実施している国内外での調査結果を集積・分析し、二つの学術論文を公刊した。一つは、ベク制度の創設過程を満洲語・トルコ語文書を利用して詳細に解明したものである。もう一つは、1801年にカシュガルのハーキム=ベクから参賛大臣に呈送されたチャガタイ=トルコ語文書の解題を試みたもの(現在印刷中)であり、清朝治下の東トルキスタンにおける文書行政制度、及びその文書提出の背景に存在したプル銭鋳造・流通の実態と、現地ムスリム経済の混乱について論じた。
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Research Products
(4 results)