2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J09936
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒向 重行 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 赤外線天文学 / 観測装置 / 星周円盤 / 検出器 / フィルタ / 低温 / ピエゾ / チリ |
Research Abstract |
私は世界初となる波長30μm帯の地上観測を実現するべく、30μm帯中間赤外線カメラMAX38(Mid-infrared Astronomical eXplorer38)の開発をおこなってきた。本装置はこれまで明らかにされていない原始惑星系円盤の低温部の研究を飛躍的に進められると期待される。特別研究員1年度には装置の全体設計とユニットの製作・試験をおこなった。特別研究員2年目となる今年度は、各ユニットの組み上げをおこなった後、実験室にて装置の全体試験をおこなった。結果、設計値を満たす性能を確認した。続いて平成19年5月に東広島天文台の1.5mかなた望遠鏡にMAX38をとりつけ、実際の天体観測における性能評価をおこなった。本試験観測では設計通りの光学性能が達成されたが、振動鏡や冷却性能、冷却駆動部に不具合がみつかった。その後、東京大学三鷹に戻り、問題箇所の原因の特定と改良をおこなった。そして翌平成20年2月に再度東広島天文台にて試験観測をおこなった。結果、問題箇所はすべて改善されており、MAX38は中間赤外線観測装置として科学的な観測を実施できる十分な性能を持つことが確認された。天体からの波長30μm帯の光は、標高5,000m以上の高地でのみ観測できるため、国内観測では試験できない。しかし実験室試験にて波長30μm帯に観測に十分な感度を持つことが確認されている。平成20年度にはアタカマ5,600mサイトにMAX38を搭載予定の1.0m望遠鏡が完成する。MAX38は最終調整をおこなった後、20年度冬季にチリへ出荷、世界初となる地上30μm帯中間赤外線観測を開始する予定である。以上の研究活動と並行して、共同研究者とともにすばる望遠鏡を用いた若い星の周りのダストの研究を進め、11.研究発表の項で挙げた学術論文の成果を上げた。
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Research Products
(4 results)