2006 Fiscal Year Annual Research Report
超弦理論的宇宙進化論に基づく宇宙モデルの構築と、その観測可能性について
Project/Area Number |
06J09939
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水野 俊太郎 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 宇宙物理 |
Research Abstract |
ブレーン上にスカラー曲率として重力が誘導されているブレーンワールドモデルは、一様等方宇宙論の範囲では、負の圧力を持つ物質(ダークエネルギー)を導入しなくても、現在の宇宙の加速膨張を説明できるモデルとして注目されているのであるが、時空の持つ対称性が低くなったときに、ブレーン上でどのような重力理論が得られるのかは、まだまだ検討の余地がある。そこで、私はこのモデルで、ド・ジッター時空を背景とし、物質としてはスカラー場が存在している、という状況設定でブレーン上での宇宙論的摂動論を考え、その厳密解を求めた。(Journal of Cosmology and Astroparticle Physics誌に掲載) 超弦理論に影響を受けて提案された初期宇宙モデルとして、Ekpyrotic(ブレーン衝突)シナリオというものがある。これは、インフレーションに代わって、初期宇宙における様々な問題点を統一的に説明できる自然な宇宙モデルになる可能性もあるが、現状では課題が多い。我々は、このモデルにおける宇宙の収縮期に、宇宙の大規模構造の種となる曲率揺らぎが生成されるか、という点を調べた。その結果、有効的に複数のスカラー場で記述できるモデルにおいては、エントロピー揺らぎが生成され、ある条件を満たせば、それが自然に曲率揺らぎに変換されることを示した。(投稿中) また、現在の加速膨張をしている宇宙を観測結果から現象論的にどのように制限するかという点についても考察した。結果としては、有意な制限を与えることは出来なかったものの、大規模構造の分布を統計的に扱い、そのガウス性からのずれが、宇宙の加速膨張の度合いを決めているパラメータであるダークエネルギーの状態方程式にどれだけ依存するかを、数値計算によって調べた。(Journal of Cosmology and Astroparticle Physics誌に掲載)
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Research Products
(2 results)