2007 Fiscal Year Annual Research Report
超弦理論的宇宙進化論に基づく宇宙モデルの構築と、その観測可能性について
Project/Area Number |
06J09939
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水野 俊太郎 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 宇宙物理 |
Research Abstract |
最近の超弦理論の進展の影響を受けて提案された初期宇宙モデルとして、Ekpyrotic(ブレーン衝突宇宙)シナリオというものがある。これは、インフレーションに代わって初期宇宙における様々な問題点を統一的に説明できる自然な宇宙モデルになる可能性もあるものの、現状では課題が多い。我々は、このモデルにおける宇宙の収縮期に、観測されているような宇宙の大規模構造の種となる曲率揺らぎが生成されるか、という点を調べた。その結果、有効的に複数のスカラー場で記述できるモデルにおいては、それによってエントロピー揺らぎが生成され、ある条件を満たせば、それが自然に曲率揺らぎに変換され、現在の観測を説明できることを示した。(Classical and Quantum Gravity誌に掲載)さらに、通常のインフレーションとは異なるこのモデル特有の予言として、揺らぎの非ガウスが大きくなることも示したが、これは今後数年のうちに観測によって確かめられる興味深い結果である。(Journal of Cosmology and Astroparticle Physics誌に掲載)また、現在の加速膨張をしている宇宙を超弦理論的な効果から説明できないかという点についても考察した。超弦理論において必然的に現れる余剰次元の体積の自由度は、4次元有効理論においては重力と結合し、重力理論はスカラー・テンソル理論となるのであるが、標準アインシュタイン理論からのずれは一般にかなり厳しく制限されているのが現状である。これに対し、我々はこの理論にスカラー場のポテンシャルを導入すれば、重力実験からの制限を満たしつつ、現在の宇宙の加速膨張を説明することが可能であることを示し、そのためにポテンシャルが満たしている条件を求めた。(Physical Review D誌に掲載決定)
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Research Products
(4 results)