2006 Fiscal Year Annual Research Report
カオリナイトのキラル識別とその端面のキラル選択性に関する研究
Project/Area Number |
06J09965
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
亀田 純 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | カオリナイト / キラル / EBSD / FIB / HRTEM |
Research Abstract |
カオリナイト結晶のキラリティーを識別するためには、EBSDにおける結晶の形態解析と共にカオリナイト底面の裏表を判別することが必要である。そこでカオリナイト底面の裏表における吸着特性の違いを利用し、酸化鉄微粒子の選択吸着から裏表の判別を試みた。粒子径約30〜50nmの均質や酸化鉄微粒子の懸濁液を作成し、pH、吸着時間、カオリナイト分散液の濃度等を様々に変化させ吸着実験を行ったところ、pH2付近において、著しく鉄微粒子の吸着した底面とほとんど吸着していない底面が共存した状態にあることを見出した。このような低いpH領域では、カオリナイトのSi-O-Si底面が負に帯電している(AlにおけるSiの同形置換により)一方で、AlOH底面はAlOH_2+となり鉄微粒子の表面と同様正に帯電しているため、静電気的な反発から微粒子の吸着が抑制されるため、上記のような状態が実現されたものと考えられる。ただし、同じ条件で実験を行っても吸着状態に差が見られなかったり、また吸着されている底面においてもその吸着量にばらつきが見られるなどの問題があり、これらは来年度以降の課題である。 また従来の研究から、カオリナイト結晶の裏表の判別に関してはTEMの高分解能観察によっても可能であるとの報告がなされている。現在、Focuse Ion Beam装置を用いてEBSDで解析した結晶の断面薄膜を作成し、高分解能TEMによる裏表判別も試みているが、試料の厚みやビームダメージの問題などがあり、これらも今後解決すべき課題となっている。
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Research Products
(6 results)