2008 Fiscal Year Annual Research Report
カオリナイトのキラル識別とその端面のキラル選択性に関する研究
Project/Area Number |
06J09965
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
亀田 純 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | カオリナイト / キラリティー / SPM / XPS / TEM / FIB |
Research Abstract |
カオリナイト結晶のキラリティーを決定するためには、結晶のポラリティー(裏表)解析を非破壊で行う必要がある。理想結晶の底面は、一方はSi四面体層、他方はAlOH八面体層という表面層が想定されるため、これらの化学的性質の違いを識別することを目的としてSPM,XPS等による表面分析を行った。 SPMの一つであるKFM(Kelvin Force Microscope)を用いた観察の結果、カオリナイト表面に多数見られるステップの表面電位に明瞭な違いは見られなかった。このことから、異なる高さのステップは同一の化学的性質を持っている可能性が高い。つまり、これらのステップが結晶の面内回転であるツイン由来であり、ポラリティーの反転によるものではないと解釈することができる。また、異なる結晶粒の底面においても、基板との電位差はほぼ同じであった。これは、上で述べたような理想結晶とは異なる最外層を形成している可能性を示唆している。 現在XPS(産総研NPF)による最外層の化学組成分析を進めており、いくつかの結晶からおよそSi:Al=2:1という組成比が得られた。またこれまでのところAl>Siという信号を得ることができていない。Ma and Eggleton(1999)は、カオリナイト最外層におけるmica層の形成をTEMにより観察している。この場合、裏表いずれの底面も最外層はSi四面体層であり、今回得られたSPM、XPSの結果とも調和的である。 現在までのところ残念ながらカオリナイトのポラリティー解析は成功していないが、カオリナイト表面についてのいくつかの知見がえられつつあり、継続してSPM,XPSによる実験を進めたい。またポラリティー解析のためには、結晶構造に対応した理想的な底面を得る必要があり、物理的にヘキ開させるなどの試料調整についての検討が必要と考えられる。
|
Research Products
(6 results)