2007 Fiscal Year Annual Research Report
カオリナイトのキラル識別とその端面のキラル選択性に関する研究
Project/Area Number |
06J09965
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
亀田 純 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | カオリン鉱物 / FIB / TEM / SEM |
Research Abstract |
本年度は、続成作用で形成されたカオリン鉱物を対象として、その形態変化やカオリナイトのディッカイト化反応がどのようなメカニズムで進行するのかを検討した。一般に、続成作用で形成されるカオリン鉱物は、バーミキュラー状の集合体を形成しており、EBSDによる相同定が困難である。したがってTEMによる解析が必要となるが、通常のイオンミリングによる試料作成法では形態との対応付けが難しいという問題がある。本研究では、FIB(収束イオンビーム)装置を用いたTEM試料作成法を試み、その結果様々な形状を持つカオリン粒子の同定に成功した。SEMによる形態観察では、平板状結晶からなるバーミキュラー集合体とよりブロック状の結晶からなるバーミキュラー状集合体と共に、平板状結晶とブロック状結晶の互層からなる集合体が認められた。従来この集合体は、カオリンの相転移に伴って形成される、カオリナイトーディッカイトの混合物と考えられてきた。FIBによる解析の結果、ブロック状の結晶は予想に反してカオリナイトであることが分かり、混合物と考えられていたものは純粋にカオリナイトのみからなることが分かった。様々な集合体を解析したが、試料中に見られる集合体は、必ずどちらか一方の相(カオリナイトもしくはディッカイト)の結晶のみからなっていることが分かった。また集合体を構成する結晶の回折パターンはストリークを示さず、積層不整の少ないカオリナイトもしくはディッカイトが形成されていることが分かった。これらの結果は、カオリナイトのディッカイト化反応が固相転移よりむしろ溶解沈殿を伴う機構により進むことを強く示唆しており、長らく議論されてきたカオリナイト-ディッカイトの相転移に関する問題を考える上でも非常に重要な知見であると考えられる。 現在、同じくバーミキュラー状の集合体を形成している緑泥石について、FIB-TEMによる形状解析、積層解析などを進めている。
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Research Products
(12 results)