2006 Fiscal Year Annual Research Report
超短パルスを用いた実時間分光及び理論解析に基づく反応機構の解明
Project/Area Number |
06J09970
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
岩倉 いずみ 電気通信大学, 特別研究員(PD)
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Keywords | フェムト秒レーザー / 時間分解スペクトル / 反応機構解析 / ポリジアセチレン / インジゴカルミン |
Research Abstract |
ポリジアセチレンの励起子相互作用によるフォノン融合、分子性結晶、。共役高分子等の凝縮系において、分子の電子励起状態、励起子の寿命よりも短い超短パルスを用いて高密度励起すると励起分子間あるいは励起子間相互作用により、Auger過程が誘起され、その寿命が短くなることが知られている。この際、高電子励起伏態がどのように緩和するかは、非線形光学素子としての性能にかかわる興味深い問題である。そこで、励起状態における構造変化の様子を実時間分光により測定した。その結果、結合音と分子振動モード間のパラメトリック相互作用をはじめて観測することに成功した。すなわち、Auger過程により双板子一双板子相互作用した2個の励起子のうち1個はほぼ2倍のエネルギーを持った励起子の励起状態に遷移するが、その高いエネルギーのため、基底状態の高い振動順位(励起子の電子エネルギーの2倍もの振動準位)に高速に緩和すると考えられる。この高い振動励起準位ではその非調和性が顕著であり、倍音や結合音成分が期待される。これらの非調和性により発現された振動モードはAuger過程がその起源であるとすると励起光強度の2乗に比例すると考えられる。今回、結合音の励起光強度依存性を調べだ結果、確かに2乗に比例していることが確かめられ、Auger過程がその起源であることが明らかになった。さらに、差周波も低周波であるにもかかわらず、振動励起子の相互作用の結果として発生したものと考えられる。これは、励起子間のパラメトリック相互作用であり、電子のやり取りと同時に振動エネルギーのやり取りが行われていることを示している。 さらに、スチルベンの異性化反応、インジゴカルミンのプロトン移動反応などの機構解析も行った。その結果、インジゴカルミンのプロトン移動反応が段階的な反応機構で進行していることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)