2006 Fiscal Year Annual Research Report
生物種を超えて伝播するRNAiの分子育種学応用研究
Project/Area Number |
06J10008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三木 大介 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | RNAi / エピジェネティック / siRNA / DNAメチル化 / クロマチン修飾 |
Research Abstract |
今後の研究に用いる目的で、誘導型RNAiの開発を行った。エストロゲン処理により発現誘導がかかるpER8というベクターを利用した。そこへ、以前我々が報告したpANDAベクターのGATEWAYを用いたRNAi領域を組み込んだベクターを作成した。このベクターを用いて、誘導型RNAiコンストラクトを作成し、形質転換植物を作成した。 これら誘導型RNAiコンストラクトを導入した形質転換植物のスクリーニングを行ったところ、外来遺伝子であるGFPをターゲットとしたもの、内在遺伝子PDSをターゲットにしたもの、それぞれ40-50%の系統で、顕著なRNAiがエストロゲン処理により誘導されることを確認した。さらに、RNAiの分子マーカーでもあるsiRNAについて検出を行ったところ、RNAi誘導時に特異的に顕著なシグナルが観察された。RNAiが誘導されなかった形質転換植物では、siRNAのシグナルが検出されなかったことから、これらの形質転換体では発現誘導がかからなかったと考えられる。 次に、誘導型RNAiが観察された形質転換植物を用い、RNAiが誘発される系時的な変化について解析を行った。その結果、エストロゲン処理4時間後には、発現量が約50%にまで減少し、同時にsiRNAのシグナルが検出された。その後、RNAiの効果はさらに強まり、12時間後には発現量は20%以下にまで抑制された。siRNAシグナルも、時間を経るにつれ強度が増し、24時間後にプラトーに達した。しかし、RNAiによる発現抑制効率は12時間後と比べ大きな変化は見られなかった。以上の結果から、非常に低濃度のdsRNAによって、初期過程ではRNAiが誘導されることが示唆された。さらに誘導したRNAiを、エストロゲン非存在培地に移しRNAi誘導を止めた後も、48時間は発現量は20%程度に抑制された状態が維持されることを明らかにした。RNAi誘導から72時間後には、RNAiからの緩やかな回復が観察された。以上の結果から、植物にはRNAiを維持する機構があるにもかかわらず、RNAiのトリガーが不在である条件下ではRNAiからの回復が起きることが示された。 以上の結果は、現在投稿準備中である。
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