2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J10041
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
有本 寛 東京大学, 大学院経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 小作契約 / 小作争議 / 共同体 |
Research Abstract |
(1)戦前期岩手県における小作契約選択に関する研究. 契約理論に基づき当地の小作契約選択を説明したものであり,刈分小作が,生産上のリスクが高く,共同体紐帯の強い村に多く見られたことを定量的に確認した.本研究は,2006年9月にInternational Food Policy Institute,およびNortheast Universities Development Consortium Conferenceにて報告した.また,国際学術誌に投稿し,現在査読中である. (2)戦間期小作争議の発生要因に関する定量分析. 労働市場の拡大が小作経営の機会費用を高め,争議に至ったとする仮説を定量的に検証する.現在進行中であるが,2007年5月の社会経済史学会にて報告する予定である. (3)現代の先進経済における共同体の役割に関する研究. 発展途上経済における共同体の役割に関する既存の議論を整理したうえで,社会経済の発展とともにその役割がどのように変化するかを議論した.そして,現代の日本において,公共財供給組織である共同体としてのむらの役割は,他の経済組織に代替可能であり,ほとんど残されていないことを論じた.2007年8月出版予定の坪井伸広編『現代むら論』,農文協,に収録される予定である. (4)戦前期日本における産業集積. 工場レベルデータを用いて,産業集積の実態とメカニズムを明らかにする.データ入力・加工・分析の途上である. (5)翻訳:Avner Greif, Institutions and the path to the modern economy 第3〜5章の翻訳を担当.2007年度中に出版予定.
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