2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゲージ理論との双対性に基づいた超弦理論の非摂動論的定式化の研究
Project/Area Number |
06J10105
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三輪 光嗣 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | AdS / CFT対応 / ウィルソンループ / 行列模型 |
Research Abstract |
本年度私はゲージ/重力対応におけるウィルソンループ演算子と関連した研究を行った。一つ目の研究は有限温度における超対称行列量子力学のウィルソンループとブラックOブレイン背景時空上の弦の伝播振幅の間の対応関係を定量的に検証するものであった。この研究では行列量子力学側で運動量カットオフを導入したモンテカルロ計算を適用し、重力理論との対応が正当化される低温領域での数値計算を実行した。その結果行列量子力学側から得られた結果は重力理論側から得られる予言と一致することが分かった。この研究は有限温度系という対称性の低い系におけるゲージ/重力対応のサポートを与えるとともに、運動量カットオフを導入した数値計算の有用性をも示したことになる。二つ目の研究は4次元N=4超対称ゲージ理論とAdS5×S5時空上の超弦理論の対応におけるウィルソンループ演算子と関連した研究である。この系では円形のウィルソンループ演算子の期待値がガウシアン行列模型を用いて計算できることが知られている。我々はこの行列模型の固有値に対する重力理論側の対応物を提案した。行列模型においてはレゾルベントが重要な役割を果たすが、我々はレゾルベントが行列模型のウィルソンループ演算子のラプラス変換によって定義されるという点に着目した。技術的な側面としてはこの研究では有限Nでのウィルソンループの二点関数、レゾルベントの1/N展開の下での補正項等を計算する必要があり、こうした点の理解が深まった。またこの研究を通じてAdS/CFT対応における重力理論側での境界条件に対する理解も深まった。
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Research Products
(4 results)