2007 Fiscal Year Annual Research Report
病原体抵抗性遺伝子を介した抵抗性のシステムレベルでの解析および新規遺伝子同定
Project/Area Number |
06J10125
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 昌直 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | システム生物学 / 植物病理学 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
植物と病原体の間の相互作用には様々なホルモンや分子が関与している上,両者の共進化を通して階層的な分子レベルでのせめぎ合いが行われている.従来,これらのシグナル伝達について「経路」という考えのもとに解析が行われてきたが,それらの経路間の複雑な相互作用を示すデータが蓄積し始めており,より複雑な情報処理伝達様式を想定しなくてはいけなくなってきている.そこで本研究ではシグナル伝達経路の集合を1つの「ネットワーク」として考え,シグナル伝達の複雑性,ダイナミクスを捉まえることを試みている. 初めに解析を行う上での計測技術,データ解析技術の開発に取り組んだ.まず,シグナル伝達ネットワークの微細な変化,全体的な挙動を捉まえるために計測技術としてマイクロアレイによる遺伝子発現プロファイリングを選んだ.商用マイクロアレイでは実験あたりのコストが高すぎるので,計測の精度,正確性を高くしたまま,コストを下げられるカスタムマイクロアレイを作成した(Sato, et. al.(2007)Plant Journal.49:565-).次にマイクロアレイから得られる高次元データを使ってネットワークモデルを構築するために,非線形の次元圧縮アルゴリズムを開発した(佐藤,渡邊,片桐ら 未発表データ). 比較的,機能解析が進んでいる既知の変異体を使って既知シグナル伝達ネットワーク構造をモデル化した.このモデルにおいて61シグナル伝達が予想され,半数はすでに報告されているものと一致し,予想シグナル伝達のうち,一つのみが既報と反していた.これはモデルによるシグナル伝達の予想精度を期待させる結果であった.現在は予想シグナル伝達の中で未報告のもの,つまり新規シグナル伝達候補について実験検証を行っている.
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Research Products
(5 results)