2008 Fiscal Year Annual Research Report
病原体抵抗性遺伝子を介した抵抗性のシステムレベルでの解析および新規遺伝子同定
Project/Area Number |
06J10125
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 昌直 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | システム生物学 / 植物病理学 / シグナル伝達 / ネットワークモデリング |
Research Abstract |
1.シロイヌナズナ防御応答ミグナル伝達ネットワークにおいて負の制御関係が多くのシグナル伝達経路間に存在することを明らかにした。 サリチル酸、ジャスモン酸など主要なシグナル伝達系に関する22制御遺伝子の変異体から得たマイクロアレイデータを我々が独自に開発したアルゴリズム(RepEdLEGG)を使って解析し、各変異遺伝子が野生型状態で担うシグナル伝達の共有をモデル化した。このモデルからこれまでに知られている以上に各シグナル伝達経路はシグナル伝達を共有しており、大きな1つのシグナル伝達「ネットワーク」が植物の防御応答シグナル伝達を制御していることを示唆した。また、機能的に冗長性のあるシグナル伝達経路間にも負の制御が頻発していることが示唆されており、これらによって防御応答を安定に発揮できるようなシステムが構築されていると考えられる。 2.遺伝子型-表現型間の対応付けを促進する新規手法の開発 ゲノム配列解析により遺伝子の情報は蓄積した。しかし、モデル生物でも多くの変異体が表現型の変化を示さない、あるいは野生型との違いが小さく統計解析できるだけの反復が必要で未だに各遺伝子と生命現象・表現型との関連をつけられないという新たな問題を提起した。そこで1)既知シグナル伝達に関わることが知られている変異体をリファレンス変異体とし、2)注目遺伝子の変異体をそれらと一緒にRepEdLEGGによるネットワーク解析に供し、3)リファレンス変異体と結びついた注目遺伝子変異体をリファレンス変異体において変化する表現型について注目変異体でもそれらが変化するか調べた。すると、供試した変異体の50%において表現型が有意に変化した。ここからこのネットワーク解析を基礎とした方法がA)どの遺伝子の変異体を、B)どの表現型に関して集中的に解析すればよいかを明らかにする研究方法になり得ることを示した。
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Research Products
(3 results)