2006 Fiscal Year Annual Research Report
病原体抵抗性遺伝子を介した抵抗性のシステムレベル解析および新規遺伝子同定
Project/Area Number |
06J10125
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 昌直 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 植物-微生物相互作用 / シグナル伝達ネットワーク / 遺伝子発現プロファイリング |
Research Abstract |
ゲノム配列解析や大規模なmRNA発現解析から高等真核生物には数万の遺伝子がゲノム上にコードされていることが明らかとなっている。しかしながら、機能が実験的に解析された遺伝子は、それらの中のごくわずかでしかない。すなわち、大部分の遺伝子については、存在がわかったものの、その機能は未知である。同様に植物の病原体に対する防御応答では少なくとも2000遺伝子の発現変動が感染初期に観察され、そのシステムは非常に多くの機能未知遺伝子を含んだ大きなネットワークであると考えられる。 機能未知の遺伝子の解析を効率よく進めるためには既知の遺伝子機能、およびその遺伝子破壊の影響を指標にして、機能未知遺伝子の機能、遺伝子破壊の影響を評価する方法が考えられる。そこで本研究では植物の病原体抵抗性に関する既知変異体を収集、解析し、既知遺伝子によって構成されるリファレンスシグナル伝達ネットワークを作成した。具体的には 1.マイクロアレイ実験、その他のアッセイに供する既知変異体収集 2.植物育成、感染実験 3.RNA抽出,マイクロアレイ実験 4.遺伝子発現プロファイルの統計解析 5.リファレンスシグナル伝達ネットワークの構築 を行った。このネットワークは防御応答に関する新規遺伝子候補をノックアウトした変異体の評価、解析に用いられるが、これ自体が以下の情報を提供しており、今後の未知遺伝子解析を支援するツールとなることが示唆されている。 1.サリチル酸を介したシグナル伝達を強く誘導する病原体(Pseudomonas syringae pv. tomato DC3000 avrRpt2)を使っても、ジャスモン酸などのその他のシグナル伝達物質が関与する、異なるシグナル伝達経路に関わる変異体を区別できる解像度で各サンプルを解析できることが明らかになった。 2.これまでに関連の知られていなかったシグナル伝達経路間の相互作用を示唆するサブネットワークが見つかった。
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Research Products
(1 results)