2006 Fiscal Year Annual Research Report
分光学的手法を用いた絶縁体-絶縁体界面における金属的電子状態の研究
Project/Area Number |
06J10179
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
津田 俊輔 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 酸化物 / 界面 / エレクトロニクス / 軟X線分光 |
Research Abstract |
本年度はLaAlO_3-SrTiO_3界面における金属的伝導の起源を明らかにするための第一歩として、LaAlO_3膜の成膜条件について詳細な研究を行った。成膜にはPulsed Laser Deposition (PLD)法を用いた。 SrTiO_3は通常最表面がTiO_2面からなる。この上にLaAlO_3を堆積させるとTiO_2-LaO界面ができる。この界面について、さまざまな成膜条件を調べたところ、SrTiO_3基板側に酸素欠損を生じさせていると思われる条件を見出した。一方、LaAlO_3を堆積させる前にSrOを一層堆積させることにより、SrO-AlO_2界面を作成することができる。この界面は絶縁体的であることが期待されるが、条件によっては金属的伝導を示すことがわかった。これら2種類の界面作成条件の検討から、LaAlO_3膜の成膜によりSrTiO_3基板側に酸素欠損を生じさせる条件は(1)低酸素分圧(2)高速成膜(3)大きなレーザースポットサイズであることがわかった。これら酸素欠損をできうるだけ避けた条件下で成膜した場合でも金属的伝導が見られることから、LaALO_3-SrTiO_3界面における金属的伝導の起源はSrTiO_3基板に生じた酸素欠損だけではないことを見出した。 また、従来型放電管を用いた光電子分光測定をはじめた。これまでのところ、電気伝導の有無に対してLa5pの内殻準位について大きな変化は見られなかった。今後さらに詳細な測定を続けることにより、電子状態の立場から界面伝導の機構を明らかにしていきたい。
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