2007 Fiscal Year Annual Research Report
1分子的手法を用いた酵母プリオン線維の成長と分裂の解析
Project/Area Number |
06J10187
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 雄嗣 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | タンパク質 / プリオン / アミロイド |
Research Abstract |
タンパク質性の伝播因子であるプリオンは、異常構造に変換されたタンパク質分子が集合してアミロイド線維を作り、それがさらに周囲の正常型タンパク質の構造変換を誘発することにより増殖・伝播する。その過程には、大きく分けて 1.タンパク質の構造変換を伴った線維成長と、 2.線維の分裂 という2つの機構が存在していると考えられている。これらの機構について詳細を明らかにするため、筆者は1分子FRETと呼ばれる実験系を用いて研究を進めている。 まず、酵母プリオンタンパク質Sup35のプリオンドメインSup35N内の2残基をシステインに置換し、それぞれを「ドナー」および「アクセプター」と呼ばれる2種類の蛍光色素で標識する。構造の決定されていないタンパク質であるため、蛍光標識を導入する2残基については多くの組み合わせの変異体を作製し、その中から多分子系での実測によって構造変換前後のエネルギー移動効率の変化が大きく、かつ野生型と同様の線維形成ができるものから選択する方法をとった。 多分子実験では2種類の蛍光色素をランダムに標識する方法であったが、1分子実験に進むにあたって、1分子の中に確実に2種類の蛍光色素が標識されるように標識方法を改良している。現在のところ、1種類の蛍光色素で標識反応を行った後、1か所だけに標識されたものだけを逆相クロマトグラフィーによって分離し、さらにもう1種類の蛍光色素で残りを標識するという方法が最良であった。 今後、1分子解析に進む予定である。 今後、1分子解析に進む予定である。
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