2008 Fiscal Year Annual Research Report
1分子的手法を用いた酵母プリオン線維の成長と分裂の解析
Project/Area Number |
06J10187
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 雄嗣 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | プリオン / アミロイド / タンパク質 / 分子シャペロン |
Research Abstract |
タンパク質が自己触媒的に構造異常化することを根本原理とするプリオン現象は、哺乳類における伝達性海綿状脳症の感染因子としてだけでなく、酵母のいくつかの表現型の伝播因子としても存在する。近年の研究で、プリオン現象には(1)構造異常化に伴うアミロイド線維形成(2)アミロイド線維の断片化という要素が必要であることが分かってきた。筆者は、酵母プリオンタンパク質Sup35を用いて、これらの現象を分子レベルで追跡することを目的として研究を行った。 まず、アミロイド線維末端におけるSup35の構造変換をモニターすることを試みた。Sup35のN末123残基(Sup35N)のプリオンドメインの2か所をCys置換し、それぞれFRETドナーとアクセプターとなる蛍光分子で修飾した。修飾位置は、昨年度までの研究で得られた、最もFRET効率変化の大きいものを選択した。これを用いて、アミロイド線維末端におけるSup35Nの構造変換の全反射蛍光顕微鏡における検出に取り組んだ。しかし、線維末端だけでなく、線維側面との相互作用が大きく、両者を見分けることが困難であった。そこで、用いるサンプルを、N末253残基断片のSup35NMにしたところ、線維側面との相互作用が改善された。ただし、まだ線維末端へのモノマー結合を見分けるところまでは至っておらず、更なる条件検討を要する。 酵母プリオン線維の断片化には分子シャペロンHsp104が必要であることが分かっていたが、補因子が必要であるらしいことも知られていた。最近、Hsp40の一種Sis1がその補因子の1つであることが細胞レベルの研究からわかってきた。筆者は、自ら開発したin vitro線維断片化検出系を用いて、Sis1の作用を調べた結果、Sis1がHsp104とともに酵母線維を断片化することを確認した。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] 酵母プリオンSup35の異種プリオンNew1による断片化2008
Author(s)
Yuji Inoue
Organizer
Cold Spring Harbor Laboratory Meeting on Molecular Chaperones & Stress Responses
Place of Presentation
Cold Spring Harbor Laboratory (New York, USA)
Year and Date
2008-05-02