2007 Fiscal Year Annual Research Report
現代都市再開発期の空間的隔離と社会的排除に関する研究-都市生活と諸制度の関係性-
Project/Area Number |
06J10202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 研之輔 The University of Tokyo, 大学院・情報学環, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 米国不法移民の日雇い調査 / 観察参与法 / 「バークレー学派」都市民族誌 / 「リフレクシブ・フィールドワーク」 |
Research Abstract |
本年度は、米国現地調査、都市民族誌の最先端の蓄積のレビュー、フィールドワークの方法論の整理、ならびに都市民族誌の翻訳作業を平行して進めてきた。現地調査では、米国不法移民の労働世界と生活世界に迫るために日雇い労働者の一人としてストリートで仕事待ちをしてきた。具体的には、カリフォルニア・サンフランシスコ北部の郊外都市の路上で日々仕事待ちを続ける米国滞在資格をもたない主にメキシコ、グアテマラ、エルサルバトル、ニカラグア出身の男性達と一緒に、平均して、一日3時間、ときには、朝9時から5時まで8時間ストリートで仕事を待ち続け、ときには、賃金交渉人として、また、自身もこれまでに、引越し手伝い、物品搬送・搬入、ペンキ塗り(補佐)、屋根清掃、庭清掃、水道業、などの日雇い労働をしてきた。このようなフィールドワークの手法は、従来の参与観察法[Participant Observation]から観察参与法[Observant Participation]への認識論的・方法論的革新として位置づけることができる。これらの調査結果をもとに、昨年度までの国内での若年滞留層の社会的排除に関する研究との日米比較へと今後展開していく。都市民族誌の現代的到達点については、初期シカゴ学派都市社会学の都市民族誌の系譜から「バークレー学派」への展開について系譜を整理してきた。方法論においても、従来のフィールドワークから「リフレクシブ・フィールドワーク」の構築に向けて認識論に関する文献を読み込んできている。さらに、現代都市民族誌の代表的著作である、ロイック・ヴァカンの『身体と魂』とイライジャ・アンダーソンの『ストリートのコード』の2作の翻訳作業も計画的に進めてきた。これらの成果は、今後国内外の学会で報告される。
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Research Products
(2 results)