2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J10228
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷川 千津 The University of Tokyo, 医科学研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | p53 |
Research Abstract |
癌抑制遺伝子p53は、標的遺伝子が有する特異的なDNA配列に結合し、その転写活性を制御する転写因子である。多くの癌において検出されるp53の変異がそのDNA結合領域に集中していることから、p53の癌化抑制能は、標的遺伝子に対する発現制御を介して発揮されると考えられる。現在までにp53により発現誘導を受ける遺伝子は多数報告されているが、癌で変異が認められるものや、変異マウスにおいて癌が多発するなど癌化への関与が強く示唆されるものはほとんどない。そこで、これまで充分になされてこなかった、真に癌化への関与が認められるp53標的遺伝子に焦点をあてた研究を現在行っている。 まず、遺伝子のスクリーニングにおいて、従来の、p53の過剰発現による発現変動を見たcDNAマイクロアレーのデータに加え、臨床検体を用いた各種癌での遺伝子発現プロファイルを検討項目に加えた。現在までに、p53依存的に発現誘導され、さらに臨床検体の癌組織において発現が上昇または低下しているp53標的候補遺伝子が複数スクリーニングされている。 現在解析を進めている候補遺伝子の内の1つは、過剰肇現系およびsiRNAを用いた発現抑制系において、p53依存的なアポトーシス誘導およびアノイキス誘導に関与することを証明した。また、大腸癌の臨床検体において、正常細胞と比較し癌細胞で顕著に発現低下レていることが明らかとなった。この発現低下には、p53の変異に加え、プロモーター領域の高頻度のメチル化が一因となっていることがわかった。さらに、大腸癌細胞株および大腸癌組織においてそれぞれ1例ずつ変異を確認した。大腸癌細胞株において認めた変異によって、アミノ酸置換が生じた結果、細胞内局在が変化し機能を喪失する可能性が示唆された。
|
Research Products
(4 results)