2006 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙線ミュオンラジオグラフィー/トモグラフィによる火山噴火ダイナミクスの解明
Project/Area Number |
06J10242
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 宏幸 東京大学, 地震研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 宇宙線 / 火山 / ラジオグラフィ / トモグラフィー / ミュオン |
Research Abstract |
本研究では、ナノスケールの微細構造制御技術により可能となったリフレッシュ可能なエマルションクラウドチェンバーを用いて宇宙線ミュオンラジオグラフィー法による火山体内部構造の解明に向けて、新たな方向性を開拓した。対象は浅間山とした。宇宙線ミュオンは、天頂角をきめると、どの場所でも何時でも、ほぼ一定のエネルギースペクトルを持つ。従って未知の密度長(密度×長さ)を持つ物体を透過する際の強度減衰を測ることで、物体内部の密度長の空間分布のマッピングを得ることができる。本研究では火山体内部探索用エマルションクラウドチェンバー宇宙線検出器の開発を行い、その結果、従来の方法と比べて以下の改善を行った:1.大型車両のアクセスが難しい山体での観測、2.電力供給源のない場所からの観測、そして3.火道、溶岩ドームなどピンポイント観測で必要とされる至近距離からの観測である。平成18年度所長裁量経費により、以下の点において質的、量的な改善を行うことが出来、後に述べる目標の達成につなげることが出来た:1.エマルションクラウドチェンバーのデザイン及び具材購入2.解析環境の拡充である。これにより、当初設定された以下の目標が達成された:活動中の火山体内部の透過像を、50mを超える空間分解能、密度精度5%以下で、1月程度の時間で、浅部火道について、得ることが出来る画期的な観測手段を確立し、実用化する。軽量・安価なエマルションフィルムは、電力消費を要しないため、火山のような環境の厳しい場所でも複数の異なる場所から測定することを可能にする。本結果から、複数の位置からのトモグラフィー観測へと今後つなげられることが確認できた。
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