2006 Fiscal Year Annual Research Report
アカスタ花崗岩のタングステン及びクロム同位体分析-後期隕石重爆撃説の検証
Project/Area Number |
06J10249
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯塚 毅 東京大学, 地震研究所, 特別研究員(SPD)
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Keywords | アカスタ花崗岩 / 冥王代 / 太古代 / 初期地球進化 |
Research Abstract |
採用期間初年度であった今年度は、(1)分析試料となる太古代初期地球試料の採取、(2)これまでに採取してきた試料の地質学・岩石学・年代学、及び(3)全岩試料及びルチル鉱物試料のタングステン同位体分析法の習得及び確立、の3つを主に進めてきた。 (1)分析試料採取 平成18年9月に、オーストラリアイルガルン地質帯ジャックヒルズ地域及びマウントナリヤー地域において、太古代堆積岩の試料採取を行った。これらの地域の堆積岩中には冥王代(>40億年前)及び太古代初期の年代をもつ砕屑性鉱物が含まれていることが報告されてきた。本研究では、ルチル鉱物がタングステンを多く含み、且つ後の変成作用にたいして頑健であるという特長に着目し、これらの堆積岩中からルチル鉱物を抽出し、その年代及びタングステン同位体組成を分析することにより、初期地球マントルのタングステン同位体組成進化に制約を与えようと計画している。 (2)採取してきた試料の地質学・岩石学及び年代学 今後タングステン同位体分析を行っていく予定であるカナダ・アカスタ花崗岩について、記載岩石学や年代分析を行うことにより、それらの岩石がどのような熱史を経験してきたのかを明らかにしてきた。また、これらの研究の成果を、学会発表や学術雑誌を通して公表してきた。 (3)タングステン同位体分析法の習得及び確立 実際の太古代初期試料の分析に先立ち、標準試料を用いて、これまでに確立されていた全岩試料のタングステン同位体分析法を習得した。また、これまでにはされてこなかったルチル鉱物試料のタングステン同位体分析についても、全岩試料の分析法を応用・改良することにより、その分析法を確立した。さらに、これらの分析手法を用いて、いくつかの太古代試料についてタングステン同位体分析を行い始め、それらの結果を国内学会にて発表した。
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