2007 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯のサンゴ礁域におけるフエフキダイ類仔稚魚の資源生態学的研究
Project/Area Number |
06J10371
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 洋平 The University of Tokyo, 海洋研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | フエフキダイ属 / 初期生態 / 海草藻場 |
Research Abstract |
本研究は,インド・太平洋域のサンゴ礁域の中で最も水揚げが多い魚類の一つであるフエフキダイ属を対象に,年々の新規加入量水準決定の鍵を握るとされる生活史初期に着目して,本属魚類の着底機構,日齢,成長,生残,生息場移動を明らかにすることで,これら魚種の資源変動機構を解明することを目的とする。 1.フエフキダイ属浮遊仔魚の接岸時の体長と日齢を明らかにするために,沖縄県石垣島沿岸で,5月から9月にかけて毎週1回,仔魚を集魚灯によって採集した。調査期間中118個体が採集され,5月中旬と7月上旬に加入盛期が認められた。全長範囲は16〜30mmで,季節による体長や肥満度の違いは認められなかった。 2.海草藻場に加入してからサンゴ礁に生息場を移行するサイズまでに成長する間の生残率を明らかにするために,石垣島の沿岸2ケ所で4月から12月まで毎週1回,目視で各海草藻場に出現するイソフエフキ稚魚の個体数と体長を記録した。調査期間中,それぞれの調査地で合計293個体と267個体の稚魚(全長2〜12cm)が確認された。加入後の成長に伴う総個体数の減少曲線を求めることで,上述の生残率を求めたところ,どちらの調査地でも5%未満と低いことが明らかとなった。 3,成長に伴うフエフキダイ属の海草藻場からサンゴ礁への生息場移行メカニズムを明らかにするために,両生息場におけるイソフエフキ稚魚の摂餌率と生残率の違いを,体サイズの異なる稚魚に対してそれぞれ調べた。その結果,体長の小さな個体ほど,海草藻場での生残率や摂餌率が高いことがわかった。
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Research Products
(1 results)