2008 Fiscal Year Annual Research Report
熟帯のサンゴ礁域におけるフエフキダイ類仔稚魚の資源生態学的研究
Project/Area Number |
06J10371
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
中村 洋平 Kochi University, 教育研究部総合科学系, 助教
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Keywords | フエフキダイ属 / 初期生態 / 海草藻場 |
Research Abstract |
本研究は,インド・太平洋域のサンゴ礁域の中で最も水揚げが多い魚類の一つであるフエフキダイ属を対象に,年々の新規加入量水準決定の鍵を握るとされる生活史初期に着目して,本属魚類の海草藻場への着底機構,日齢,成長,生残,成長に伴うサンゴ域への生息場移動機構を明らかにすることで,本属魚類の資源変動機構を解明することを目的とした。 1.フエフキダイ類の浮遊仔稚魚が,海草藻場が存在する沿岸を識別して接岸しているのかどうかを明らかにするために,沖縄県石垣島沿岸で,海草藻場が存在する沿岸と存在しない沿岸に接岸した仔稚魚の量を比較した。その結果,両沿岸に接岸した仔稚魚の数に有意な違いが認められなかったことから,仔稚魚は海草藻場がある沿岸を識別しないで接岸していると考えられた。 2.仔稚魚の着底時の体長と日齢を,DNAによる種判別と耳石による日齢査定を用いて調べた。多くの種で全長と日齢はそれぞれ20-30mmと20-30日であった。幾つかの種間で着底時の日齢と体長に有意な違いが認められた。さらに,5月と7月の個体を比較すると,後者の方が日齢が少なく肥満度が高かったことより,水温の高い夏期の方が浮遊期の成長が良いことがわかった。 3.フエフキダイ類の成長に伴う海草藻場からサンゴ域への生息場移行メカニズムを明らかにするために,両生息場における稚魚の摂餌率と生残率の違いを,体サイズの異なる稚魚に対してそれぞれ野外実験で調べた。その結果,体長の小さな個体ほど,海草藻場での生残率や摂餌率が高いことが明らかになった。
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Research Products
(2 results)