2006 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯のサンゴ礁域におけるフエフキダイ類仔稚魚の資源生態学的研究
Project/Area Number |
06J10371
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 洋平 東京大学, 海洋研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | フエフキダイ属 / 初期生態 / 海草藻場 |
Research Abstract |
本研究は,インド・太平洋域のサンゴ礁域の中で最も水揚げが多い魚類の一つであるフエフキダイ属を対象に,年々の新規加入量水準決定の鍵を握るとされる変態期から稚魚期初期に着目して,本属魚類の着底場選択機構,日齢,成長,生残,移動,生息場所を明らかにすることで,これら魚種の資源変動機構を解明することを目的とする。 (1)フエフキダイ属浮遊仔魚の接岸から着底までの過程を明らかにするために,沖縄県石垣島沿岸で,浮遊仔魚と着底稚魚の水平分布を集魚灯採集と目視観察によって調べた。その結果,フエフキダイ属仔魚は全長2-3cmに達すると接岸することが明らかになり,さらに,接岸後,すべての個体が海草藻場に着底したことから,本属仔魚は海草藻場に対して着底場選択性があるものと考えられた。 (2)フエフキダイ属仔魚の海草に対する基質選択性の有無を,室内実験によって検討した。実験では,サンゴと海草を設置した水槽内に仔魚を放して,仔魚の移動した位置を記録した。移動が確認された個体のうち8割の個体が海草の方へ移動したことから,フエフキダイ属仔魚は海草に対して基質選択性があることが示唆された。 (3)海草藻場におけるフエフキダイ属稚魚の個体数変動を明らかにするために,石垣島の沿岸で計6つの海草藻場を選定し,6月から12月まで毎月1回,目視で各海草藻場に出現する稚魚の個体数と体長を記録した。合計6種1204個体のフエフキダイ属魚類が確認され,そのうち,イソフエフキが全体の68%と最も優占していた。月毎の個体数をみると,どの海草藻場でも新規加入稚魚が出現する6月から8月にかけて最も多く,9月以降は個々の成長とともに個体数は徐々に減少し,12月にはほとんどいなくなった。また,イソフエフキは全長約12cmに達するとサンゴ域に生息場所を移行させていたことから,本種は海草藻場を稚魚の成育場として利用していると考えられた。
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