2006 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸受容体デルタ2の小脳シナプス形成における分子機構の解明
Project/Area Number |
06J10425
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三上 義礼 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 小脳 / シナプス形成 / ゼブラフィッシュ / グルタミン酸受容体 / プルキンエ細胞 |
Research Abstract |
ノックアウトマウスにおいて,小脳平行線維-プルキンエ細胞のポストシナプスでグルタミン酸受容体デルタ2(GluRδ2)が欠損すると,ポストシナプスの構造を残したままプレシナプスが消失する表現型が見られた。シナプス形成を理解する上でGluRδ2は良い研究対象となる分子である。しかし、マウスでシナプス形成をin vivoでモニターする事は困難であるため,イメージングや分子操作の容易な脊椎動物のゼブラフィッシュに着目し、GluRδ2の分子メカニズムをin vivoで明らかにする目的で実験を開始した。 はじめに、ゼブラフィッシュ小脳の発達過程やシナプスの形態等の解剖学的詳細を明らかした。電子顕微鏡解析により、小脳分子層で受精後4日目からシナプスを確認した。形態は成魚の成熟シナプス(プレシナプスがポストシナプススパインを取り囲む)と類似していた。免疫染色でGluRδ2の発現が開始する時期と一致しており、シナプス形成の観察に適した時期であると考えられた。この時期にモルフォリノ・アンチセンスオリゴでGluRδ2の発現を抑えたところ、シナプス数の減少及び形態の異常が認められた。以上より、ゼブラフィッシュにおいてもGluRδ2がシナプス形成に重要であることが確認できた。 次に、各種GluRδ2変異型遺伝子や種々のシナプスマーカー分子をプルキンエ細胞に発現させ効果を見るために、ゼブラフィッシュプルキンエ細胞特異的に機能するプロモーターを取得した。更に、このプロモーター制御下に転写因子Gal4VP16を発現するラインを作製した。この個体とUAS配列下にGFPをつないだコンストラクトを持つラインと交配させ、プルキンエ細胞特異的にGFPを発現させ、ポストシナプススパインの形態を詳細に観察することができた。 今後は、シナプス形成時のGluRδ2自体の挙動と、GluRδ2機能抑制や変異型GluRδ2分子がプレ及びポストシナプスの動態をどう変化させるかをin vivoイメージングより観察し、GluRδ2のシナプス形成における役割を明らかにしていく。
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