2006 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病予防、疾病再発予防目的の運動習慣獲得と維持に効果的な指導法の開発
Project/Area Number |
06J10432
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大場 美穂 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 虚血性心疾患 / 行動変容 / 運動習慣 / 中高年者 |
Research Abstract |
行動変容のtranstheoretical model (TTM)を運動の分野に応用し、個々人の運動習慣維持に効果的な指導法開発の前段階として、TTMのステージと運動習慣の有無、気分尺度、健康関連QOL、日本的タイプA行動評価尺度、虚血性心疾患患者に特異的な血液指標との関連を見ることを目的とした。また、TTMのステージの関連因子に年齢による違いが見られるかについても検討した。 全対象者(51名、平均年齢64.6歳)のうち、TTMの前熟考ステージと準備ステージに分類された人は約半数であった。前熟考ステージ、熟考ステージの人の中には運動習慣ありに分類された人が見られた。また、実行ステージ、維持ステージの人において運動習慣なしに分類される人がいることが明らかとなった。ステージの分類が主観的に行われていること、ステージ分類時に運動習慣の定義を満たすかという判断が必要であることが要因であると考えられる。このことから、対象者の正確な変容ステージを評価するためには、面接法により、実際の運動頻度、内容、運動時間をあわせて調査する必要があることが考えられた。 TTMの変容ステージを上昇させる規定因子は年齢によって異なることが示された。低年齢者は高年齢者と比較して身体機能が平均的に高いため、運動習慣保持には身体機能よりも精神的な因子がより関与しているためであると考えられた。また、高年齢者は身体機能の低下に個人差が大きいため、運動習慣保持には精神的要因よりも実質的な身体機能の状態がより強く関与していること、運動と健康に関する情動的経験を持つ人は身体機能が低下している状況でも、病気を予防することの重大さを認識しているため運動習慣を保持していることが示唆された。従って、効果的な運動習慣の保持には、以上の要因を高めるためのプログラムを開発し、年齢別に運動指導を行うことが必要である。
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