2006 Fiscal Year Annual Research Report
児童・思春期におけるSense of Coherenceの発達と形成要因に関する研究
Project/Area Number |
06J10433
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸ヶ里 泰典 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | sense of coherence / 健康生成論 / 学校帰属意識 / 家族関係 / 社会経済的地位 / 社会関係 / 縦断調査 |
Research Abstract |
児童・思春期におけるSense of Coherence (SOC)の発達と形成要因に関する研究として、以下諸点の実績を挙げるに至った。 まず第1に、学童期のSOCの検討として、その要因として重要と言われている学校帰属感覚尺度の小学生向け日本語版を開発した。これにより、SOCの有力な要因として取り上げることが可能となった。 次いで学童期のSOCに関してクロスセクショナルなデータを用いてその関連性を検討したところ、学校帰属感覚や意思決定参加の経験のほか、母親のSOCや家族関係も重要な関連要因であることが見いだされた。次年度は形成要因を探索すべく、上記の有力な形成要因とSOC形成との因果関係の同定をすべく高校生を対象とし、親子のカップルデータを用いた縦断的デザインの研究を検討している。 第3に、思春期を含めた若年者(20歳以上40歳以下)を対象とした長期間の追跡研究により、SOCを形作る重要な要因と言われる出身階層や学歴、職歴、収入と言った、社会経済的地位や、家族形態、友人関係といった要因の変遷とSOCの形成過程を把握すべく、簡便にSOCを測定するためのツールの開発を行った。これは東大健康社会学版SOC-3スケール(SOC3-UTHS)と名づけられ、インターネット調査及び自記式質問紙票による調査を実施したところ、従来のSOC-13スケールとの収束妥当性および他の健康概念との同時妥当性、および信頼性が明らかとなった。また、社会経済的地位や家族形態といった要素とSOC13とのクロスセクショナルな比較においては、ほぼ同様の関連性がみられ、内容的妥当性も明らかとなった。現在このツールを用いた追跡調査のベースライン調査の回収が終了され、今後さらに追跡し、検討を行っていく予定である。
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Research Products
(3 results)