2006 Fiscal Year Annual Research Report
抑制性アダプター蛋白質Lnkによる造血制御機構の解析と免疫系再構築への応用
Project/Area Number |
06J10458
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
滝澤 仁 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 免疫学 / 再生医学 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / サイトカイン / 移植・再生医療 |
Research Abstract |
N末端富プロリン領域、PH、SH2ドメイン、C末端チロシンリン酸化部位を持つLnkに、一アミノ酸置換や欠失を導入し種々の変異体を作製した。これらを用いSH2ドメインが増殖抑制に必須の役割を担うこと、SH2ドメイン変異体群はドミナントネガティブ変異体(DN-Lnk)として機能しうることを明らかにした。またN末端欠失により多量体形成能が消失し、DN-Lnk変異体の効果が消失することから、DN-Lnk変異体はN末端を介して多量体を形成し野生型Lnkを競合阻害することが推察された。 レトロウイルスを用いてDN-Lnkを野生型マウスの造血幹細胞・前駆細胞に感染導入し移植実験を行った。DN-Lnkの移植群はコントロール移植群に比べて高い造血能を示しことから、DN-Lnkは造血幹細胞・前駆細胞に内在性に発現するLnkの機能を阻害できることが分かった。エレクトロポレーション法による一過性発現でも効果を示し、骨髄非破壌的前処置を施した免疫不全マウスへの高効率な生着など造血幹細胞及び前駆細胞の移植後早期の生着能を促進すると考えられた。 Lnk欠損マウス骨髄に存在する巨核球前駆細胞をコロニーアッセイにより解析したところ、数の増加のみならずTPO反応性の亢進が観察された。また、多くの核数を持つより成熟した巨核球の占める割合が増加していた。TPO存在下で骨髄細胞を培養することで得られる巨核球を用いて、Lnkにより制御されるTPOシグナル伝達経路の生化学的解析を行った。TPO刺激依存性に誘導されるStat3、Stat5、Akt及びp38のリン酸化は変化なかったが、Erk1及びErk2のリン酸化のみがLnk欠損巨核球で亢進していた。TPOシグナル伝達経路におけるLnkの作用点がErk1及びErk2のリン酸化に至る経路であることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)