2007 Fiscal Year Annual Research Report
肺高血圧症の病態生理や分子機序を検討し有効な薬物療法や細胞療法を開発すること
Project/Area Number |
06J10462
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐原 真 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 肺高血圧 / K_<ATP>チャネル遮断薬 / アポトーシス |
Research Abstract |
MonoGrotalineによる肺高血圧ラットに対し、nicorandilは用量依存的に肺高血圧進展抑止効果を示した。Nicorandilは主にK_<ATP>チャネル開ロ作用により肺細動脈内皮細胞におけるeNOS発現を保持・増強させ、また同内皮細胞に対して抗アポトーシスに作用(Gaspase-3の発現減弱)した。その結果微小肺循環における血栓形成や肺細動脈内皮傷害・中膜肥厚、肺血管周囲の炎症をnicorandilは抑制した。Nicorandilによる抗肺高血圧効果は、既に肺高血圧が高度に進行したラットに対しても確認された。Nicorandilは無血清培地下のHUVECへも抗アポトーシス効果を発揮した。NicorandilはHUVECに対し、生存シグナル因子のAktやERK1/2のリン酸化を誘導し、さらにP13K-Akt経路やERK1/2経路の下流に位置するGSK-3やBad(アポトーシス促進因子)のリン酸化も誘導した。またeNOSやアポトーシス抑制因子のBol-2の発現もそれぞれ増強させ、これらがnicorandilによる抗肺高血圧効果を説明する機序と考えられた。一方、肺高血圧症に対してPDE5阻害薬(vardenafil)とniGorandilの併用療法の効果を検証した実験では、併用療法の著明な抗肺高血圧効果を認めた。併用療法による有害事象は認められなかった。VardenafilはNO-cGMP経路を介する血管拡張・内皮保護効果に加え、肺高血圧下の肺組織におけるVEGF発現を保持・増強させた。肺高血圧症に対して作用機序の異なるこれら2剤の同時使用が相乗的効果をもたらす可能性が示唆された。以上の研究成果は、2007年11月に米国(Orlando)で開催されたAHA年次学術集会でロ述発表された。論文はCirculation誌に投稿されご追加実験を経て現在改訂版を投稿中である。
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Research Products
(3 results)