2006 Fiscal Year Annual Research Report
不動産物件の構造特性と立地条件を包括的かつ定量的に考慮した不動産価格推定法の構築
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06J10503
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 麻理 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 住宅市場 / 価格推定 / 類似度 / 市場細分化 |
Research Abstract |
不動産の適正な価格水準の算出を目的とし、研究を行った。不動産価格の統計的推定において、市場細分化が一つの有効な手法であることは既存研究において示されている。また筆者は既に、物件単体の特性と物件の立地条件が不動産価格決定において同程度に重要であることを明らかにしている。これらの成果を発展させ、物件間の類似度関数によってデータ内で実質的に細分化を行う手法を構築し、より適正な価格水準の算出手法を構築した。 不動産物件のj番目の特性について、物件i, k間の類似度をf_j(j, k)とする。f_j(j, k)は対称性、均質性、連続性、単調性を満たすのが妥当と考えられ、本研究ではこれら4つの条件を満たす関数の一つとしてf_j(j, k)=[π/4-|arctan(i/k)-π/4|]/(π/4)を採用した。さらに複数の特性に基づく細分化を同時に行うことで価格推定の精度は高まると予想されるので、f_j(j, k)を複数の特性について統合した関数を、物件j, k間の類似度関数ρ[f_j(j, k)]=[Σ_ja_j{Φ(x^i_j, x^k_j)}^θ_j]Θ(a_j【greater than or equal】0、θ_j【greater than or equal】0、Θ【greater than or equal】0)とする。この類似度関数ρf_j(j, k)と取引事例比較法のパラダイムを融合し、評価対象物件との類似度が高い物件は、比較対照物件として高いウェイトで考慮し、類似度の低い物件は低いウェイトで考慮する。 ρ【f_j(j, k)】には、物件規模、築年数、交通利便性、用途地域等を投入した。ここで投入する物件特性は、当該住宅市場においてヘドニック分析を行い、住宅価格に対して有意な影響を与えると判明したものを選択した。既存研究の手法を用いると約10%であった価格推定誤差が、この手法を用いることによって約5%となり、手法の有効性が確認された。 また上記の手法を都心及び郊外の住宅地に適用し、最適化されたパラメータa_j、θ_j、Θを地域間で比較することにより、地域による住宅市場構造の差異について考察した。その結果、都心おいては物件自体の実用性がより強く求められ、近郊においては周辺環境が重視される傾向があるという差異が見られた。一方、物件規模など基本的な特性については地域によらず概ね普遍的な結果が得られた。
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Research Products
(1 results)