2006 Fiscal Year Annual Research Report
電子的に共役した複数のゲスト捕捉部位を有するホストの設計と新規超分子科学の開拓
Project/Area Number |
06J10517
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 弘志 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | π共役系 / 環状二重体 / ホスト-ゲスト化学 / 完全縮環ポルフィリン |
Research Abstract |
既に確立していた完全縮環ポルフィリン二量体からなる環状二量体の合成法を参考に、プロモアルキル基およびフェノール性水酸基を有する完全縮環ポルフィリン三量体を合成し、塩基性条件下、カップリングすることで環状二量体を得ようと試みたが、目的とする環状二量体は全く得られなかった。反応点同士が接近できないことが原因と考えられたため、鋳型合成法の適用を試みた。 具体的にはまず、両端にチオアセチル基を有する新規完全縮環ポルフィリン三量体を合成した。この完全縮環ポルフィリン誘導体と4,4'-ビピリジンを溶液状態で混合すると、2枚の完全縮環ポルフィリンが3分子のビピリジンをサンドイツチした形の2:3錯体を安定に形成することが、紫外可視吸収スペクトルを用いた滴定実験および1H-NMRスペクトル測定より確認できた。ジクロロメタン溶液中、この2:3錯体にナトリウムメトキシドを作用させ、室温空気下で1.5時間攪拌したところ、アセチル基部分の脱保護により生成したチオール基が空気酸化されることで、ジスルフィド結合をリンカーとする環状二量体を極めて高収率(単離収率90%)で得ることに成功した。同様の鋳型合成法を完全縮環ポルフィリン二量体にも適用したところ、こちらも単離収率86%(従来法では環化に関する収率は15%)と極めて効率よく環化反応が進行することが確認できた。 以上のように、従来法では得ることが極めて困難であった完全縮環ポルフィリン三量体からなる環状二量体を、鋳型合成法により極めて高収率で得ることに成功した。
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